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本田アカデミーダイレクター

「変えようとするな、わかろうとしろ」ジェフユナイテッド市原・千葉:本田 将也 氏がiDEPで実践する、「成長のカルテ」で描く未来への挑戦

ジェフユナイテッド市原・千葉のアカデミーダイレクターとして、選手と指導者の育成を牽引する本田 将也 氏。iDEPを導入し、どのように選手の主体性を引き出しているのか。単なるツール活用に留まらない、スペインでの経験や独自の目標設定理論など、その核心に迫ります。

情報
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ジェフ千葉本田顔写真
ジェフユナイテッド市原・千葉
アカデミーダイレクター 本田 将也 氏

近畿大学卒業後、1996年に京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)に加入。
1999年シーズンに引退後は、京都サンガF.C.で育成指導者の道を歩み始める。
2023年シーズンにジェフ千葉でヘッドオブコーチを務めたのち、2024年シーズンよりアカデミーダイレクターに就任する。

目次
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    関西から千葉へ、そして「人を育てる」役割

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    ── 本日はよろしくお願いします。まずは、本田さんのこれまでの歩みと、現在ジェフユナイテッド市原・千葉(以下、ジェフ)で担っている役割について改めてお聞かせください。

    私は大阪出身で、選手として京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)で4年間プレーした後、指導者の道を歩み始めました。関西では30年間過ごし、多くの方に支えられてきましたが、50歳という節目で「誰も自分のことを知らない環境でチャレンジしたい」という思いもあり、4年前に縁あってジェフに参りました。
    現在はアカデミーダイレクターとして、選手はもちろん、指導者の育成にも責任を持っています。ジェフの育成ビジョンは「アカデミー出身の選手がトップチームの中心になり勝利に導く」こと。その根底には「人間的成長なくしてフットボールの進歩なし」という揺るぎない哲学があります。

    ── 指導者の育成も、ダイレクターとしての重要な任務なのですね。

    そうですね。スタッフが多感な時期の子供たち、下は10歳から上は18歳までの選手たちと日々どう向き合うか。彼らと真摯に関わり、一貫性を持って育てていくための土台作りが私の仕事だと考えています。

    「成長のカルテ」を求めて:iDEP導入の背景と決め手

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    ──  今回、選手管理ツールとしてiDEPを導入されましたが、どのような課題意識があったのでしょうか。

    アカデミーとして大切にしているのは、10歳から18歳まで一貫した考え方で選手を育てる「継続性」と「再現性」です。この8年間で選手がどのような過程を過ごしてきたか、それをしっかり管理できるツールが必要でした。いわば「成長のカルテ」を作りたかったんです。
    以前は、テクニカルな情報や試合結果、怪我の履歴、フィジカルデータ、さらには学校の成績などがバラバラに管理されていました。それらを一箇所に集約し、指導者が交代しても選手の情報を正確に引き継いでいける状態にしたいという発想が、iDEP導入の出発点でした。

    ──数あるツールの中で、iDEPを選ばれた決定的な理由は何だったのですか?

    もちろん、人との縁もありました。しかし一番の決め手は、私たちの「選手が主体的に成長する」という考え方に、iDEPのIDPの仕組みが最もフィットしたことです。他のツールも検討しましたが、IDPの記録を選手とスタッフ全員で共有し、共に成長を支えていくというプロセスが、iDEPには明確に組み込まれていました。

    「結果・パフォーマンス・行動」:3層の目標設定でブレない自分を作る

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    ──現場では、具体的にどのようにiDEPを活用して選手の「主体性」を引き出しているのでしょうか。

    特に重視しているのは「振り返り」です。今の子供たちはスマートフォンの世代ですから、かつてのサッカーノートのように手間をかけるのではなく、デジタルで手軽に、かつ習慣的に記録できる環境が重要です。
    現在、様々なコーチの指導のもと、選手たちは「結果目標」「パフォーマンス目標」「行動目標」という3つの層で目標を設定しています。

    • 結果目標: 「トップ昇格」「リーグ優勝」など。自分では完全にコントロールできない、大きな方向性を示すもの。
    • パフォーマンス目標: 「レギュラーになる」「数値をこれだけ上げる」といった、結果との中間地点にあるもの。
    • 行動目標: 「毎朝走る」「腹筋を毎日30回やる」など、どんな状況でも自分の意志で継続でき、可視化できる具体的な行動指針。

    ──なぜ、ここまで細かく目標を分ける必要があるのでしょうか。

    人間の脳はどうしても「結果」や「評価」に引っ張られてしまいます。試合に負けたりスタメンから外されたりしたとき、結果だけを目標にしていると、心が折れてブレてしまうんです。しかし、自分がコントロールできる「行動目標」を明確に持っていれば、どんな状況でもそこへ立ち返り、淡々と積み重ねることができます。
    たち指導者は、選手を無理に変えようとする代わりに、選手自身が「自分で選んで歩む」ための目標設定をサポートするのも仕事です。「結果(昇格など)」は自分ではコントロールしきれないため、そこに執着させすぎると選手はブレてしまいます。「毎朝走る」「腹筋をする」といった、どんな状況でも自分の意思で継続できる「行動目標」を重視させます。指導者は、選手がその行動目標を継続できているかを見守り、立ち返る場所を担保してあげることが重要です。

    この「立ち返る場所」をデジタルで常に確認できることが、iDEP活用の大きな意義です。

    スペインで感じた「複雑性」と、日本の育成の未来

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    ── 本田さんは毎年スペインに勉強に行かれているとお聞きしました。現地の育成現場と日本を比較して、感じられることはありますか?

    スペインにあるクラブに訪問して勉強する機会をいただいていますが、一番驚いたのはその多様性と複雑性です。アカデミーに15か国の選手が在籍していると聞いたときは衝撃を受けました。
    言葉も文化も家庭環境も異なる15か国の子を一箇所に集めて育てる。その複雑な状況に対応するには、指導者に圧倒的な柔軟性と対応力が求められます。日本も今、IDPという育成システムを通じて、選手一人ひとりの個性に向き合う「主体性」の育成へと大きく舵を切っています。これは世界基準の育成に適応していくための、非常に重要なステップだと感じています。

    ── 指導者のあり方も変わっていく必要がありますね。

    その通りです。かつてのように「指導者が答えを教える」だけでは不十分です。選手の成長には、「①知らない→②知る→③わかるけどできない→④できる→⑤無意識にできる(プロレベル)」という5つの段階があります。指導者はその子が今どの段階にいるのかを理解し、教えすぎずに見守る姿勢が大切です。この段階を理解することで、感情的に叱ることを防ぎ、適切な導きが可能になります。テクニカル、メディカル、フィジカル、メンタルの各専門家が意見を出し合い、一人の選手を多面的に「わかろうとする」姿勢が、最適な育成につながります。多面的な側面から「複雑な成長」を捉えることが大切です。

    iDEPでは、指導者が選手に送るフィードバックなども可視化されるため、指導者自身のアプローチを客観的に見直すきっかけにもなっています。

    デジタルが可能にする「見守る」コミュニケーション

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    ──  導入後、選手とのコミュニケーションに変化はありましたか?

    選手がノートに振り返りを入力すると、私や監督、コーチが「いいね(ハート)」を押しています。直接言葉を交わさなくても、大人が「ちゃんと君の記録を見ているよ」というサインを送る。これだけで子供たちは承認されたという意識を持つことが出来、モチベーションは大きく変わります。
    また、これまではノートを回収しなければ見えなかった選手の思考が、iDEPを通じてリアルタイムで共有されるようになりました。大人が子供を「変えようとする」のではなく、まずは彼らが何を考え、何に苦労しているのかを「わかろうとする」。デジタルツールが、そのための強力な助けになっています。

    未来への展望:地域に根差し、自立した選手を輩出する

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    ── 今後のアカデミーとしての展望を教えてください。

    将来的に、トップチームにアカデミー出身の選手をスターティングメンバーとして常時5名送り出すことが目標です。現在も高校3年生の選手や、大学を経由して戻ってきた選手が活躍していますが、彼らが子供たちの素晴らしいロールモデルになっています。
    千葉県には1万4000人の小学生サッカー人口がいます。この地域の原石を見つけ出し、長期的な視点で育て上げることが、ジェフとしての価値だと考えています。

    ── 最後に、育成に関わる方々へメッセージをお願いします。

    「変えようとするな、わかろうとしろ」。これが私の信条です。大人は子供の鏡です。我々大人が時代の変化に敏感になり、自分自身をアップデートし続ける姿を見せること。そして、ツールを活用しながら選手一人ひとりの「主体性」を尊重し、共に成長していくこと。それが、日本のフットボールの未来を切り拓く道だと信じています。

    ──本日は、育成の神髄に触れる素晴らしいお話をありがとうございました。

    IMG_0155 2取材日:2026年4月21日

    インタビューを終えて

    今回のインタビューを通じて最も印象的だったのは、本田氏がサッカーの技術向上以上に、一人の人間としての「自立」と「成長」に心血を注いでいる姿でした。

    特に、「結果・パフォーマンス・行動」の3層による目標設定の話は、サッカーの枠を超え、ビジネスや人生そのものに通じる深い洞察に満ちていました。結果という自分ではコントロールできないものに心を乱されるのではなく、「今、自分にできること(行動目標)」に立ち返る場所を作るという考え方は、多感な時期を過ごすアカデミーの選手たちにとって、生涯の財産になるはずです。

    また、本田氏が繰り返していた「変えようとするな、わかろうとしろ」という言葉には、指導者としての覚悟が滲み出ていました。大人が子供を一方的に型にはめるのではなく、まずは相手を理解しようと努めること。そして「大人は子供の鏡」であるという自覚を持ち、指導者自身がアップデートし続ける姿勢を見せること。その鏡の中に、iDEPというデジタルツールが「承認」や「成長の可視化」という形で自然に溶け込んでいる点に、ジェフユナイテッド市原・千葉アカデミーの先進性を感じました。

    「アカデミー出身の選手5名をトップチームのスターティングメンバ―へ」という目標に向け、千葉という地域に根ざし、10歳から18歳までの長い年月をかけて「個」を磨き上げる挑戦。そのプロセスを支える「成長のカルテ」としてのiDEPが、今後どのような名選手、そして魅力ある人間を育んでいくのか。私たちも共に歩んでいけることに大きな希望を感じています。



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