JFAアカデミー福島では、未来の日本サッカーを担う若き才能たちが日々研鑽を積んでいます。その成長を力強く後押ししているのが、IDP: Individual Development Plan(個人の能力開発計画)に基づいたツール「iDEP」です。今回は、U-14ナショナルトレセン選出の河原 圭哉選手(中学2年)と、U-15日本代表に選出(2025年2月国内トレーニングキャンプ、2025年5月クロアチア遠征)された瀬賀 結臣選手(中学3年)にインタビューを実施しました。iDEPが彼らのサッカー、そしてチームにどのような変化をもたらしているのか、その実態に迫ります。
IDPとの出会いと自己認識の変化
──まず、IDP(Individual Development Plan)という言葉や概念についてお伺いさせてください。IDPは、いつ、どこで知りましたか?また、実際にiDEPを使ってIDPを作成してみて、どのような印象を受けましたか?
河原選手: iDEPを使い始める前は、IDPという言葉自体を知りませんでした。iDEPを使い始めてから、IDPという言葉を認識しました。実際にIDPを作成した際は、最初は難しかったです。全部で10個ある項目の内、最初の頃は7個くらいしか設定していませんでしたし、今もまだ全てを埋めているわけではありません。しかし、やっていくうちにだんだんと自分の足りていないところを発見できました。IDPの内容は2〜3ヶ月や半年に1回くらいの頻度で変更や更新をしていて、当初と比べて「できるようになったこと」や「変わっていないところ」を認識しています。特に「できていないところ」をテーマにして試合に臨むことで、具体的な課題意識を持ってプレーできるようになったと感じています。

瀬賀選手: 私は中学1年生の終わりぐらいに、面談などを通してIDPという言葉を知りました。iDEPで実際にIDPを作成してみて、普段だったら自分の弱みや強みをあまり考える機会がないので、IDP作成を通して、自分の武器がどれぐらいなのかとか、改めて自分を見つめられたのはすごく良かったなと思います。iDEPではIDP作成機能を一番よく使っています。

iDEPの活用方法と具体的な変化
── お二人はいつからiDEPを使い始めたのでしょうか? iDEPには様々な機能がありますが、どの機能を一番よく使っていますか?また、どのようなタイミングで入力していますか?
河原選手: 私は中学1年生の途中、だいたい1年ぐらい前から使っています。主に自分のスマートフォンで使っています。iDEPの中では「ノート機能」を一番よく使っています。サッカーの試合の後に、サッカーノートのような感じで使っていて、それをコーチが確認して色々とコメントを書いてくれます。入力するタイミングは、ゲームの後が一番多いです。試合の後に、自分の振り返りなどを入力しています。iDEPを使い始める前は、小学校の頃から手書きのサッカーノートをつけていました。試合のテーマや良かったこと、悪かったことを、試合ごとや練習ごとに記録していました。iDEPの入力内容は、この手書きのサッカーノートと同じような内容ですね。

瀬賀選手: 私は中学2年生ぐらいから、ちょうど1年ぐらいiDEPを使っています。私も自分のスマートフォンで入力しています。iDEPの機能の中では、先ほどもお話ししましたが「IDP作成機能」を一番よく使っています。iDEPを使う前は、中学1年生の頃にサッカーノートを試したことはあったのですが、書くこと自体があまり好きではなかったので、続きませんでした。iDEPは、紙で書くのに比べてスマートフォンで操作できるので使いやすくなったという印象があります。

── iDEPを使い始めてから、ご自身のプレーや意識に具体的な変化はありましたか?また、iDEPの良い点や、チーム全体、あるいはチームメイトに何か変化は感じられますか?
河原選手: iDEPを使い始めてから、練習にテーマをしっかり持って取り組めるようになりました。ゴールキーパーとして、特に「ミドルストップ」や「キャッチング」の部分を意識して取り組めるようになり、成長したと感じています。iDEPの「IDPの可視化」で、自分のダメなところなどがしっかりわかる点が良いと思います。チーム全体では、iDEP導入後、テクニックが向上していると感じます。個人目標の設定が、チーム全体のレベルアップにも繋がっているのかもしれません。
瀬賀選手: 一番大きな変化は、iDEPを通じて自分の弱みを振り返ることで、練習で弱みを意識してトレーニングすることが多くなったことです。特に課題としていた「左足のキック」について、1年経って振り返ってみると、正確に蹴れるようになったりと具体的な克服に繋がりました。普段だったら自分のサッカーについて振り返ることが少ないので、iDEPを使うことで改めて自分を振り返る機会になったという点が良いですね。チーム全体では、学年みんなでiDEP使ってIDPを作成を実施したことで、どういうところが弱みかなどをみんなで確認したりしたので、お互いのことを理解できるようになりました。

iDEPと描く未来:夢と成長の道筋
── iDEPを自身の成長のツールとして活用しながら、どのような将来を描いていきたいですか?目標とする選手や、どんな選手になりたいかなど、教えてください。
河原選手: 今後もiDEPを活用して成長していきたいと思っています。そして、プロになって、日本で活躍できる選手になりたいです。

瀬賀選手: まずは、高校生でJリーグデビューして、そこから海外・イングランドに行きたいと思っています。最終的には、将来は代表で中心となって活躍できる選手になりたいです。最近、クロアチア遠征で色々な国と対戦する機会がありました。例えばポルトガルのような「個人の強みがあるチーム」や、イングランドのような「チームとしての戦術がしっかりしているチーム」と対戦し、多くの学びを得ました。その中で、自分の「キックの部分とビルドアップの部分」は通用したと感じた一方、海外選手との「競り合いの部分が弱い」という新たな課題も発見しました。これらの課題も、iDEPのIDP機能を使って改善していきたいと考えています。

── 本日は大変貴重なお話をありがとうございました。お二人の国内外での活躍を楽しみにしています!
取材を終えて
iDEPは、JFAアカデミー福島で選手一人ひとりの「自己認識」「課題解決」「目標達成」を支援しています。河原選手や瀬賀選手のように、自身の弱みを明確にし、具体的な練習テーマを設定し、そしてその成果を実感できることは、選手たちの自信とさらなる成長に繋がります。iDEPは、彼らの夢を実現するための強力なパートナーとして、今後もJFAアカデミー福島の選手たちの活躍を支え続けていきます。